古き良き時代 [風景画]
昭和30年代、テレビがまだ珍しい頃の娯楽は我が家では映画と貸本家と銭湯だった。
銭湯の帰りに貸し本屋に寄って漫画を借りるのが日課だった。映画は親と一緒に観る無害な映画以外に、町内のガキ大将に引率されて大人向きのアクション映画も楽しんだ。
話題作の映画は、封切り前から銭湯の横に大きな看板が揚がった。テレビが普及する以前の映画の宣伝方法は手描きの看板だった。看板を眺めてはまだ見ぬ映画への期待が高まっていった。
私が幼い頃、父と観た映画は「モスラ」「キングコング対ゴジラ」「世界大戦争」など特撮物が多かったが、母とは「少年忍者 猿飛佐助」「西遊記」などの文部省推薦の東映動画や「月光仮面」「七色仮面」などお子様向けの映画が多かった。親と一緒に鑑賞した映画は「世界残酷物語」が最後で、小学校高学年になると同級生と映画館に行くようになった。