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四国ツーリングの思い出 33 [バイクの絵]

 6時になったので食堂に入った。細長い和室の広間で、部屋ごとにテーブルが決まっており、8卓が通路を挟んで整然と並んでいた。卓上にはすでにご馳走が用意されていた。自分の席に着くと配膳係りがお櫃とお吸い物を運んできた。ビールを注文した。中瓶で600円で、ロビーの自販機なら400円ですむ。参考までに配膳係りに缶ビールを持ち込んでもよいか尋ねると大丈夫だった。ビールが来た。瓶入りのビールは久しぶりだ。特別料理の鰹のたたきが揃ったところで食事を始めた。
 料理とビールに舌鼓を打っていると、八王子氏が私の後ろのテーブルに背中合わせに座った。ビールをどうしようか迷っている様子なので、缶ビールの持ち込みは構わないそうですと教えてあげた。彼は安心してロビーで缶ビールを買ってきた。ひと心地ついたころ、お互い上半身を捻って食事をしながら談笑した。彼は一週間の夏季休暇中で、昨日フェリーで四国入りしたと言う。明日は九州に上陸するが、私が北九州から来たことを話すとお薦めの場所がないか聞いてきた。仕事で福岡市に行ったことはあるが、バイクでは初めての九州とのこと。毎年5月の連休は北海道へツーリングに行っていると羨ましいことを言う。ほろ酔い加減になって、バイク事故の話から傷の見せ合いになった。彼の太腿の傷はひどかった。学生の時バイクで転倒し、痛いのを我慢して帰宅したが、傷がカルビ状態になっているのを家人が見てあわてて病院に連れて行き、20針ほど縫ったらしい。
 周りのテーブルもみんな楽しそうだ。私の正面は車で到着した家族連れで、50代の夫婦と二人の娘さんが卓を囲んでいた。お父さんは下戸なのかアルコールを口にしていなかった。食事を済ませるとさっさと部屋へ引き上げて行った。通路の向こう側のテーブルの若いカップルはまだ学生のようだ。その後ろ側は新聞販売店の二人だ。八王子氏の後ろは最後に到着したオフロード車に乗る20代の男で、寡黙に食事をしていた。食べ終わった人は次々と席を立ち、そのあと配膳係りが片付けていった。八王子氏と私はのんびりしすぎたことに焦り、食事に集中した。私はどうにか平らげると、調理場に料理がおいしかったと声をかけて部屋に戻った。
ヤマハYZR500ケニー・ロバーツ1979.jpg

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